藤と光のコントラスト

出展場所  あしかがフラワーパーク イルミネーションコンテスト
期間 2016年 10月22日 点灯式 2017年2月5日まで出展予定
使用LED 1000球
大きさ 横幅 104cm 高さ73cm 奥行き 27cm 設置 77cm の高さに持ち上げる事を想定

今年のテーマ
過去2年連続でテクニカルな仕掛けに注力しすぎて、実際のオブジェクトに美しさが欠けている
気がしていた。今回は奇麗に見せると言う事をテーマにしたいと思った。
但し安価で工作しやすい素材を使うと、どうしても出来上がりが雑な感じになってしまい、
あまり美しさを追求出来ない気がしていた。

今年は丁度あしかがの藤を油彩で描いていたので、これを効果的に見せる為のライトアップの額を
作ってみようと思った。LEDで表現するのではなく、絵の力を借りてしまうので反則な気もしたけど、
今までとは異なるアプローチで面白いのではないかと思った。

絵を、通常の展示以上に奇麗に見せる額、及び光とのコントラストで強烈な印象を残す展示物を狙った。

設計
最初はアクリルパネルで前面を覆って絵を保護する事も考えたけど、反射や屋外展示の為に汚れて汚くなり
透明性が落ちる事から(昨年アクリルパネルが汚れて汚い感じがした為)、今回はそのままむき出しで
使う事にした。3ヶ月ちょっと、太陽光と風雨に油彩は耐えられるのだろうか?
雨が直接絵にあたらないように外側を作る必要があると考えた。



今回は紙と黒のスチロールで簡単な模型を作った。F20号の絵が基本のサイズで、これをうまく表現する
額のサイズ決めて、更にLEDの配置方法を考え、内部の構造とサイズを計算した。
切断しないとクルマに部品を積めないため、事前に内部まで含めたサイズを決める必要があり、
結構な時間がかかり、何回か図面を引いた。

本体、内部の工作
切った金網を曲げ、組み合わせて骨格を作った。
絵を取り付けてその回りにLEDを取り付けて行った。





前面の工作
正面は直接光は使わない。強い直接光で回りが見にくく事を防ぎ絵を強調する狙いだ。
イルミネーションが溢れる中で、回りからの光を遮断し暗い空間で対比を作り出す為に、
真っ黒な縁を大きめに取る事にした。
暗い空間の中に、奥まった位置に絵を置いて立体感を出した。
上と左右の端からLEDの間接光で照らし、回りが明るく、中が少し暗い感じにする事にした。
反射光により、絵の中の白い成分が強く光る事により、普通に見るより絵に立体感が出てきた。

LEDを点灯せずにそのまま見ても、回りの黒でしまっていて絵を表示するディスプレイのような感じだ。





絵の下の部分、特に木の根っこから幹にかけて、LEDの光ではなく柔らかく色を変化させた光をあてたかった。
前回と同じフォトフレームを使って、下から木の部分に光をあて、画像を変化させる事にした。
実験してみると、液晶画面の四角い形が見えてしまうので、表示の端をぼかしたり、幹の曲がりに合わせた
画像を作成して照らしてみた。
若干の光量不足を感じたけど、絵にあった光を作る事が出来たし、青や緑、赤っぽい色に幹が変化するのは
地味だけど面白い効果だった。展示ではどれぐらいの人に気付いてもらえるだろうか??





横面の工作
一方サイドは対比の為に、かなり明るい光を放つ事を考えた。前には出ないけど、まわりを明るくする事で、
全面の黒を強調し、その中の絵の部分が光で浮き出す事を狙った。
アクリルの反射を利用し、直接光と反射光の両方の効果を狙った。事前に検討していた三角錐の組み合わせの
光源ユニットを縦に並べる事にした。

  

横は三角錐の強烈な光と反射による奥行きが出せたと思う。前面をいっさい邪魔せず、横にまわると
奥行き間のある強烈な光でコントラストが表現出来たと思う。後は会場に設置した時にこれらの意図が
どれぐらいいきてくるか楽しみだ。





背面の工作
今までの展示では、気を使ったのは横までで裏は何もしていなかった。今回は裏が大きなパネルで、
ちょうどLEDが200球残っていたので、これで裏に別の顔を作ろうと考えた。

光をつけるまでは只の裏側(裏蓋)に見え、点灯すると何かが見えるものを狙った。色々試した末、
青いパネルを貼り、その中にLEDを仕込んで藤の花を作る事にした。



藤はパネルに密着させ強い光にして、葉の部分は緑のパネルを挟み、さらに少し空間をあけてぼんやり
光る効果を狙った。
デザイン的に少し幼稚に見えてしまうけど、裏側なのに妙な奥行き感のあるモノに仕上がったと思う。

    

納入、現地での組み立て
昨年はバラバラにして現地で組み上げたため、組み上げ作業が半端じゃなかったので、今回は最低限を狙い
本体がクルマに収まる事を確認して作った。
前面パネルは弱い素材なのではずして持って行き、納入作業はフォトフレームの電源部分の防水加工とケース設置、
前面パネルの取り付け、動作確認程度で済ませる事にした。
天気がよく心地よい気温で作業は快適だった。昨年より作業量は遥かに少なかったけど、それでも2時間程度
かかって完成した。

今回は設置方法はお任せしてしまったので、あとはどのような環境に置かれ、どのように設置されるのか
点灯式が楽しみだ。

点灯式
10月23日、点灯式に参加した。
今年は作品展の会場が入口から離れた奥まった場所に変更されていた。
目立たない場所かなと思ったけど、以前より広くてじっくりと見て回れる良い環境だと思った。
心配していた設置は、素敵な台を作ってもらい感じ良く仕上げられていた。。

  

暗くなってから見に行くと、ちゃんと色の変わる部分も動作していて一安心した。
横の強い光が思った程強くなく、少し物足りなかったのが計算と異なっていたが、正面から
見た時の、真っ暗な中に絵が浮かび上がる感じは想像通りに出来上がっていた。





今年のフラワーパーク自体の展示は、昨年の花のテーマを更にパワーアップさせていた。
特に水の反射を利用した展示が美しく、入口の睡蓮のイルミネーションはとても素敵だった。