AlfaGTの選択




少なくとも10万キロまでは156に乗ろうと考えていた。
今後2年は買い換えは無いと思っていたし、特に目をつけている
車があったわけでもなく、突然の車の選択はとても難しかった。

本当は今までの156と同じ顔の2.5L V6 MT を購入したかったが、
新車で買える156は新しい顔に変わっていて、自分としては初期の
顔、全体のデザインの方が調和があり美しいと思っていた為、
どうしても選択する気になれなかった。

価格的にはかなり無理があるけれど、156GTAという選択は魅力があった。
冷静に考えると、自分には3.2L は必要ないと思われるし、左ハンドルや
底をすりそうなスポイラー等も不要だ。だけど昔の156の雰囲気を持つ
新車はこれしか無い。
希望の筆頭となったが既に生産終了、MT車は在庫なしだった。

AlfaGT 顔つきはあまり好きではないが、最近のジウジアーロ顔のきつい顔
よりは好みだ。サイドとリアの雰囲気はとても感じが良い。久々にクーペに
復帰するのも悪くないと考え始めると、徐々に筆頭候補に浮上して来た。

マニュアルにする場合は、3.2Lの左ハンドルしか選択肢はない。おまけに
18inchタイアで乗り心地は悪そうだし最小回転半径は156よりさらに
大きくなり6mとなるそうだ。冷静に考えると候補外かと思えてくる。

AlfaGTの試乗は不発だった。試乗車はクラッチの調子が悪く気になって
楽しくなかった。パワーをかけるとハンドルが取られるし、後ろは悲惨に
見にくい。うちの駐車場に入れるのはとても大変だったし、入れた後に
車から出るのもドアが大きくて苦労した。GTは候補から外れてしまった。

後日GTとクラッチは同じ構造だと言う事で147GTA に試乗する事になった。
以前も147GTAに試乗して好印象だったが、今回も刺激的であり且つ
乗りやすく好印象だった。但しエクステリアは147よりGTの方が好みだった
ので、GTが再び浮上した。

内装はナチュラルにしようと思っていた。だけどいつ輸入されるか
分からず結局黒の内装、外装は赤で契約する事となった。





納車の時にマイクの話が出た。事前にネットで色々と調べていて、
AudioPilotのマイクは5月頃の納車からは場所が変わっている情報を
仕入れていたので、何でという疑問がわいた。

乗り込んでみると、黒内装は何だかあまりぱっとしない。ドアの肘置きの
部分が妙につやがあって感じが悪い。サイドミラーには汚れがたっぷりと
こびりついて層になっているし、センターの小物入れをあけると、
ここも何だかひどく汚れていた。
この車との最初の出会いはあまり良いものではなかった。

慣らし中は3000回転までに押さえて走り始める。エンジンに余裕があるので
低回転でもあまりストレスは感じない。ブレーキの効きは感じよかった。
冬タイア対策の為に16インチホイールが履けないのが痛かったけど、この
感触と引き換えならば仕方ないと思った。
ボディはがしっとした感じだ。156とは全く異なる。
(156は8万キロ走ったのでかなりやれていたのかも知れないが)
但し18インチのタイアはやり過ぎだと思う。絶えず突き上げられる感じで
優雅な走りとはほど遠い。GTA と印象が異なるのはタイアの所為だろうか。

駐車場に入らなかったので短いアンテナを購入。感度が少し落ちた。

高速を走ってみると、100Km前後で振動が発生。多分ホイールバランスが
狂っているんだと思う。

オーディオは最初は156と同じであまり良くないと思った。何だか作った
ような安っぽい音だ。だけど大音量にしてみると印象は大きく変わった。
結構気持ち良い。AudioPilot は噂に違わず邪魔だった。勝手に音量を操作
されるのが、こんなに不快だとは想像出来なかった。BOSE の想定以上の
ロードノイズが原因じゃないか。

ウイークデーの間、車に乗らず冷静に状況を振り返ってみると、この車は
かなり古いに違いないと確信し始めた。シートベルトの年月日を調べ
愕然となった。そこには1年以上前の日付が刻印されていた。
愛着等は跡形もなく吹っ飛び、この車に嫌悪感すら抱き始めた。





不思議な事にドライブしていると嫌悪感は徐々に薄らいで行く。車自体は
強い魅力を持っているんだと再認識した。

シートはとても気持ちがよい。しっかりとホールドされているけど
ずっと乗っていても疲れない。ステアリングも良い感触だ。
最初は不要だと思っていたステアリングのスイッチは、使ってみると
結構便利だった。

ニーパッドは、もう少し張り出して欲しい。またこの部分が灰皿になって
ふたが付いているが、灰皿は使わないし147の様に物が置けるように
なっている方が便利だと思う。

あまり余分な装備は故障の元だし不要だと思っているのだけど。。。
オートクルーズのレバーは邪魔だ。ウインカーレバーを操作する際に
何回か間違えかけた。この機能は使わないかも。
オドセンサーで外気導入と循環の切り替えを自動で行う機能は、
気が利いているように見えるが、必ず最初に臭い排気ガスが車内に
入ってしまう。うーん。
雨を感知するワイパーは、なかなか動き出さずに手動に切り替える
事が多い。

燃費計でトータル燃費を表示させ、思っていたより燃費はましだと
思ったが距離とガスを入れる量から計算すると、毎回1Km/L 以上
異なっていた。燃費はあまり良くないようだ。

慣らしが終わりエンジン回転を上げてみた。まだ5000回転ぐらいに
とどめているが、4000回転を越えてからのフィーリングはすごい。
FFにこのパワーはないだろうと思うほど、ハンドルは取られバランスは
悪いが、とても危険な魅力を感じさせる。

Fiat Auto Japanのやり方や対応には大きな不信感を感じているし、
車自体もアンバランスな所があるが、不思議な魅力が漂っていてとても
複雑な心境だ。