北岳
出発日 2002年 8月2日から3日にかけて (8月1日 芦安前泊)
天候 8月2日 午前中快晴、2時くらいから6時頃まで雷雨
8月3日 快晴
コースタイム 1日目
バス->(6:30)広河原ロッジ(7:05)=>広河原山荘出発(7:15)大樺沢=>二俣(9:35)右俣コース-> (11:00)御池小屋分岐(11:30)=>小太郎尾根(11:40)=>(12:05)北岳肩の小屋(12:50) =>(13:15)北岳山頂(13:30頃下山) =>肩の小屋(14:00前)=>宿泊
2日目
肩の小屋(4:10)=>(4:50)北岳山頂=>(4:55)御来光=>(6:20)肩の小屋(7:05)=>(9:00)雪渓 =>(11:30)広河原ロッジ着=>12時ちょっと過ぎの臨時バスで芦安へ

標高差 広河原1500m 北岳肩の小屋3000m 北岳頂上3192m 標高差 1690m
行程 仕事を終えてから、山梨県の芦安村まで車で入り、ここで一泊する。11時20分ぐらい に宿に到着した。

8月2日、芦安村のバス停5時17分発のバスに乗り広河原に向かう。運の良い事に 空席が少しあり、座っていける事になった。これは予想外だった。広河原までの道は 結構細くすれ違いの出来ない部分がほとんどで、さらに片側は崖で切り立っている。 ここは自分の車で入りたくないと思ったし、駐車場探しが大変だと聞いていたので、 何も心配しなくてすむバスが正解だと思った。



広河原は快晴で北岳も見えている。支度をして7時5分くらいに出発する。吊り橋を 渡り、広河原山荘へと向かう。ここで登山届けを提出する。

7時15分くらいから登山開始。最初は山林を歩く。早朝で清々しいが、少し登りが 続くと暑くなってくる。御池コースと大樺沢への分岐点があり、左の大樺沢コースを とる。沢の音が聞こえる。沢の近くを通ると、それだけで少しひんやりとして気持ちが 良い。また途中で登山道自身に水が流れ川のようになている箇所がある。滑りそうで 気を使うけど、気持ちがいいし面白い。布製の靴は少しきついかもしれない。



2つ目の崩落地で、沢の左側の迂回コースに回る。沢を渡った先に小さい沢にそって登る ところがあり、ここで頭や首等に水をかぶる。とても冷たい水なので最高に気持ち 良い。

迂回コースから沢の右側に戻る。しばらく登ると視界がひらけて北岳、雪渓等が見渡せる ようになる。良い景色だ。



二俣は9時35分程度に通過。ほぼコースタイム通り、2回 軽い食事休憩を取ったので、実際には少し早めのペースである。

右俣コースはジグザグの登りとなる。樹林と言うより草花に囲まれた感じである。 但し満開というかんじではなかった。あまり変った花は無かった気がする。徐々に 高度を増して行き、北岳や周りに見える山々が変化してくる。



右俣コースの途中で 軽い食事休憩をとり、11時に御池コースへの分岐点に到着する。30分ぐらい、 花を見たりしながら休憩を取る。





11時半に出発し、ひと登りで小太郎尾根に出る。一気に視界が良くなり、北側には 甲斐駒が格好よくそびえていた。



となりには仙丈が岳が見える。



ここから先はわずかだし、景色は良いし風も心地よい。山登りの中で一番好きな部分だ。



北岳山頂周辺に雲が迫りつつあるのが少し気になる。


肩の小屋手前に1か所急な登りがあるとガイドブックに書いてあった。実際に鎖もかかっていたが、 無くても何も問題ない程度で、ここを登ると肩の小屋は目の前だった。



12時5分、肩の小屋到着。しばらくは景色を楽しむ。
今回ここに到達するまでに要した水は2リットル。最初はもっと凄い勢いで飲み 準備した3リットルを使い切るかと思っていたが、水遊びで体を冷やせたり、 稜線からは涼しくて楽だったためこの程度で足りたのだと思う。 小屋で水1リットルを買う。ポリタンクのような、ちょっと変な味がする。

小屋の受付をする。16番でかなり早い到着だったようだ。奥の2階、番号の部分に 荷物を置く。毛布がやたらと多かった。番号に割り当てられたスペースはわずか。 両側は隣の人と体があたる。おまけに足を延ばすとその先に寝ている人に当たる。 最初はかなり悪い場所だと思っていたが、後になって、この2階の奥の部屋は早く 来た特権でかなり良い場所だった事に気付かされる。

かなり雲が増えて来たので急いで山頂に登る事にする。ザックを置いて、12時50分に 小屋を出発。荷物が少ない分かなり軽い足取りで登って行ける。また、 コースは適度な斜面で快適に登れる。途中2か所、下から見ると山頂に見える部分が あった。



山頂に向かう途中、凄く人になれた鳥がいた。

13時15分山頂到達。到達時は間の岳や仙丈が岳、および登って来たコースや 北岳山荘のある反対に降りるコースが見えていたけれど、だんだんと雲が迫って来て、 見晴しが悪くなって来た。





しばらく山頂を散策し、おやつを食べ、見晴しが復活 するか待っていた。

遠くで雷の音がかすかに聞こえた。即座に下山開始。視界はそれほど悪くはないけど、 山々の景色はもう全然楽しめなくなっていた。同様のタイミングで数人が下山を開始 していた。最初の偽山頂のあたりで、ぽつりと雨粒が落ちて来た。まだ登ってくる 人たちが何組もいたけど、降られるんじゃないかと思いながら降りる。

小屋に到着。窮屈なスペースに入りほっとしている間に本降りになって来た。かなり 降った。雷もなった。明日の心配と、この窮屈なスペースで何も出来ないのが不満。

もともと混んでいる日の上に雨で避難して来た人たちで(テント組?)、小屋の玄関周辺は 大変な状態になっていた。受付が早かったので食事も最初の回で回って来て、16時45分 くらいに夕食となる。

18時ぐらいにようやく雨があがる。持参したワインを持って外に出る。まだまだ風上に 黒い雲がいるけれど視界がはれてくる。東側には虹も見えた。まだ食事がまわってこない 人たちがいるようで、小屋も大変だけど後から来た人も大変だと思った。

20時ちょっと過ぎ、朝食のお弁当を取りに行くついでに星空を見る。 普段見るより遥かにたくさんの星が見える。天の川も見えた。

8月3日、3時半頃に目覚ましで起きる。準備開始している人がいる。天気が良いらしい との情報を得て、一気に目が覚める。早速後片付けと準備にとりかかり、4時頃に小屋を でた。薄明るい程度だけど天気はよさそう。かなり寒い。



4時10分頃、ヘッドライトをつけて登山開始。東の空は明るくなっている。
かなり上まで登っている人もいるようで、ランプの明かりがちらちらと見えている。 すでに富士山も見えている。
荷物を持っているのとライトの明かりなので昨日よりはペースを落として登る。
既に昨日登っていてコースや状況をつかんでいるので登りやすい。



最初の偽山頂あたりでヘッドランプは必要なくなるくらいの明るさになる。 東の見晴しの良い所ではビデオを撮り、東の見晴しがきかない所は、せっかく なら日の出を山頂で迎えたかったので少しペースをあげる。

4時50分くらいに山頂到着。



抜群の天気で周りの山々を見渡す事が出来る。 朝日の出てくる方向も素晴らしいが、徐々に姿を見せ、変化してくる周りの 山々の風景が素晴らしい。北アルプスが見える。



4時55分頃日の出。



富士山の眺めも素晴らしい。


近くの山では、甲斐駒が良い格好を見せている。朝日が当たり色が変るか期待して いたが、これはあまり変化が無かった。
一方間の岳の方は、朝日を受け、色が変って非常に美しかった。本当はここも 登ってみたかったけど、次回に取っておこう。



中央アルプスと、その向こうに木曽御岳山が見える。



その右には乗鞍、さらに右を 見ると、穂高、槍、そして北アルプスの山々が美しく見える。



甲斐駒を通り越した右には八ヶ岳が見える。いつも目にしている方向とは異なる 方向から見るので、教えてもらうまで分からなかった。



東の方向は、雲海がかなりあった事と逆光な事より、富士山以外はあまり目立たな かった。

西側には北岳の自分自身の影がはっきりと写っていた。こんな風に見えるんだと 驚いた。



山頂で日の出を楽しんだ人たち。



朝日による風景の変化を堪能し、ちょっと寒いけどお弁当を食べ、名残惜しいけど 下山開始する。こんな光景が見れるんだから山登りは止めれない。



肩の小屋前で荷物や装備を整えて、7時5分頃に下山。最初は甲斐駒を見ながら降りて 行く。



下りはストックを使う事にした。日射しは強いけど心地よい気温だった。

稜線から降りる前に北岳を振り返る



右俣と御池の分岐点手前で北岳を振り返る。



御池との分岐地点で、右俣から登って来た人に状況を聞いてみた。昨日の雨で 沢コースが荒れていたら御池コースも考えようと思っていたけど、水量もそれほど ではなく、荒れても無さそうなので計画通り右俣コースを戻る事とする。

右俣コース下りの途中からだんだん暑くなる。右俣コースを降りきったあたりでは かなり足もくたびれて来た。

二俣で雪渓の中に入ってくる。ひんやりとして気持ち良い。



ここから先は、崩落地迂回コースの沢を楽しみに降りる。計画通り沢で水を浴びる。

帰り道で、もう少しだと思うと、靴が濡れてもかまわないので、水の流れを下る 部分はかなり楽しかった。

沢から離れ、樹林の中をしばらく降り、広河原山荘へ到着。11時20分くらいだった。 バスの時間を確認すると、12時に出るとの事、これに乗りたいので広河原ロッジへ 向かう。

11:30前に広河原ロッジ着。広河原からは雲で北岳山頂は見えなかった。



12時ちょっと過ぎの臨時便にのり芦安まで降りる。

感想 北岳を意識しはじめたのは、2000年の冬に北横岳に登り南アルプスの山々を 見たときからだった。また去年の冬に大菩薩から南アルプスの山々を眺めた際、 北岳や甲斐駒に登るぞと密かに決めていた。

但し南アルプスの山々はアプローチに時間がかかり、日帰りでは不可能で、 樹林で鬱蒼としているイメージがありなかなか計画に至らなかった。

直前までアプローチ方法を迷っていたが、登山前日に芦安村まで車で行き、 宿で一泊して早朝のバスに乗るという方法は、ベストだった気がする。 おかげで早朝から登山を開始でき、午後の夕立には活動を終える事が出来た。

コースとしては、樹林の中を延々と歩き続けるのは嫌だったので、水のある 大樺沢コースを取る事に決めていた。実際に歩くと、沢の音と、途中で何回か 出てくる沢を渡る部分、道に水が流れている部分等、面白いし空気が冷たく 気持ちも良かった。

お花畑を期待して右俣コースを取ったが、時期がベストでは無かったのか、 期待程凄くはなかったと思った。

稜線に出てからの景色は最高、甲斐駒が格好よい。ここはいずれ訪れなければ ならないと思っている。

小屋は、最初からこの日は混むと言われていた。その上夕方からの夕立ちの為、 小屋避難者が増え大変な騒ぎになっていた。大変な山小屋の状況を実感でき、 これも山独特の状況を体験したと言う事で価値はあった。但しもう少し快適に 過ごしたいものだ。

小屋泊まりで楽しみにしていたのは、満天の星空と、翌日の朝の光景だった。 小屋が混んでいて外に出るのも一苦労な為、満天の星空は短時間しか味わえ 無かったが、翌日の朝の光景は文句無しだった。中央アルプスや北アルプスが 太陽と反対に位置するので、北岳からの朝の光景はとても見事だ。

天候、タイミングに恵まれ、スケールの大きな北岳を満喫する事が出来た。 もう少し体力を貯えて、次は北岳から間の岳まで足をのばしたいと思った。